豊中駅前まちづくり会社

『豊中駅前まちづくりニュース』
2月上旬号-Vol.074 (2012/2/1 発行)  【コラム】 『単なる懐古趣味でも、守旧派でもなく』

『単なる懐古趣味でも、守旧派でもなく』

 師走、12月。年齢を重ねると、その年数を分母とした数字が段々と大きくなり、分子の1年が相対的に小さくなって、1年を早く過ぎると感じるのだとか。まさに、もう年の瀬を迎える。一年の締めくくりの月だが、今年はそう簡単には締めくくれない。
 現実に経験せずとも、また阪神淡路大震災の経験者でも更に人生観が変わるという未曾有の災害をもたらした東日本大震災。地震・津波・原発事故から、はや9か月が過ぎようとしているが癒されない傷、定まらないそれぞれの地での復旧・復興。
 今月号と来年(来月)1月号は、その締めくくれない思いを紀行文として伝えたい。

 駅舎を壊された内陸部の世界遺産・平泉。北上川河口・橋の袂の小学校で命を落とした幼い子どもに宛てた母親の手紙を刻んだ碑。漁業と連携できない復旧・復興住宅。丘の上の病院の一階まで津波に襲われた女川町には建物の底を見せて今なお横たわるビル。原発立地によるものか、人口規模に不相応の体育施設群に仮設住宅が並ぶ。TVで伝えられた3階建てであるが、その生活の行く末は依然として不透明である。前衛芸術のようにビルの上にバスが残る石巻。亡くした家族との思い出を引きずりながら何度も足を運んでいるであろう花と線香が残る仙台市若林地区。塩に浸された田畑への綿花栽培のささやかな試み。なだらかな白砂青松の地は近郊の海水浴場として賑わい、のどかな"誉生”を送ろうとする高齢者を迎え入れた老人ホームの格好の立地場所であったろうに…。押し流された長い松並木、土台だけを残して失った建物と人生。左右が泥沼化し嵩上げされた仮設道路を被災物満載の隣県ナンバーのダンプがすれ違う。震災特需でもある。断絶し津波に押し流された線路・駅舎の跡が残る亘理町・山元町。同じ県内とはいえ100キロも離れた会津若松の地で町役場ごと避難所生活を送る原発直近の町、大熊の被災者達。校庭に設置された自動放射能測定器。避難所代わりに使われた温泉宿。風評被害で来なくなった観光客のようやく回復の兆しの象徴である数台の観光バスの姿を口に出し繰り返し喜んでいた友人の姿が印象的である。我々が映像で見る物理的施設の損傷は勿論のことであるが、見えない心の傷は大きく、原発事故による将来への不安とストレスは、傷を一層深く拡げて、想像し難いものがあるという。
“旅を止んで、夢は枯野を駆け巡る”
『まちづくりニュース』Vol.073 PDFファイル
第1ページ (2.46M) 第2ページ (1.69M) 第3ページ (1.43M) 第4ページ (3.29M)
1月号-Vol.073 (2012/1/1 発行)  【コラム】 『夢は枯野を駆け巡る』 2

『夢は枯野を駆け巡る』(2)

 新春を新たな気持ちで迎えて下さったことでしょう。昨年は、豊中駅前まちづくり会社の運営に色々とお世話になりました。まちづくりニュースの協賛広告をはじめ、レンタルルームのご利用、アイボリー寄席・新免館寄席・アイボリーフォーラムなど各種の催事への参加、川柳投稿・・・。昨年暮れには、このまちづくりニュースのコラムである『豊中駅前の歴史を振り返る』と『まちなかの散歩』が地元・大池小学校で教材として活用してくださるという栄誉に浴することが出来ました。豊中駅前まちづくり会社も昨年12月21日で13年目に入りました。有限会社とはいえ、出資者も全員がまちを愛するまち中の方であり、スタッフ全員がボランティアで働いております。地域に馴染んで、まちづくりの役に立ちたいという歩みが少しは認められたのかとスタッフは喜んでおります。本年もよろしくお願いいたします。 こだわり続けて年を越してしまい、なお吹っ切れない思いを伝えたく、暮れの紀行文の続きを記事にすることをお許し頂きたい。

 東日本の被災地を訪ねる旅の途中のことである。これまで多くの観光客で賑わっていたであろう最澄の高弟が開いた伊達市霊山の地。そこでテントを張って果物・漬物を出張販売する被災住民。思いやりの心、人へのやさしさをモットーとする“までい”の力でコミュニティを再生し、いったんは避難者を受け入れながら風の悪戯によって自らも避難者と転化して役場にも村中の民家にも人の気配のなくなった飯館村。それでも使命を果たすため“通い”でやってきている宮司。黛まどかの選による句碑が山麓に並ぶ「あいの句碑」。思わず“句碑覆う秋草の中人恋し″と口にする。原発20キロ圏内の広野町。防護服をきた作業員を乗せた車が行き交う。未だに線量の高い敷地内で原子力発電所の事故収束に向けた命を削っての必死の作業が続いていることを窺わせる。一方で原発放射能被ばくの警戒線を緩めるや留守宅の金目のものをごっそり持って行かれたと緊急避難した高齢の女性が嘆く。遠く福岡県警・広島県警・長崎県警らが警戒するのはそうした不埒な輩である。日本人の美徳が伝えられる中で、あまり伝えられていない事実であった。あの誠実な日本人であるはずがない?だとすれば移民を受け入れなければ高齢者人口を支える労働力人口が確保できない年齢構成となると指摘される我が国の行く末はどうなるのだろうか?
たくさんの時間、金、知恵が要る。我々は高度成長期に何をしてきたのだろうか?
“旅を止んで、夢は枯野を駆け巡る”

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巻頭コラム

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